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2003年7月2日午前9時45分ごろ、長崎市万才町の築町パーキングビル(7階建て)敷地内で、男児が頭から血を流し、倒れているのを、ビル従業員が見つけ、110番した。 全裸で、頭などに数か所の打撲の跡があり、すでに死亡していた。 男児は1日夜から行方不明になっていた同市北陽町、会社員種元毅さん(30)の長男、幼稚園児の駿(しゅん)ちゃん(4)で、長崎県警長崎署は殺人事件とみて捜査を始めた。 調べによると、駿ちゃんは、パーキングビルとブロック塀の間にある雨水タンクのそばに、うつぶせの状態で倒れていた。 遺体は全裸で、殴られたような跡もあった。 現場は、同市中心部の県庁や県警本部などの官庁や商店が立ち並ぶ一角。 塀を乗り越えないと出入りできない場所で、近くで駿ちゃんの衣類が見つかった。 長崎署は2日午後、司法解剖を行い、死因などを調べる予定。 駿ちゃんが行方不明になったのは1日午後7時ごろ。両親と妹と一緒に、同市三芳町の大型電器店に買い物に来ていた。 駿ちゃんは「テレビゲームコーナーに行く」と言って離れた。 約20分後、姿が見えないのに両親が気づいて、店員らと店内を捜したが、見つからず、110番。浦上署は署員20人を動員、店舗近くを流れる浦上川や店と自宅の間などを捜索していた。 遺体発見現場は、大型電器店から南に約4キロ離れている。 ブロック塀の陰に、捨て去られたように横たわっていた駿ちゃん。 家族との買い物途中で行方不明になった駿ちゃんは、なぜ殺害されたのか。 長崎市の中心街で起きた幼児の無残な死に、市民は「こんな事件が起きるなんて」と不安を口々に語った。 遺体が見つかったのは、同市最大の繁華街のすぐ近く。同市万才町のパーキングビルと隣接するビルのブロック塀のすき間で、幅はわずか1メートルほど。 塀を乗り越えないと出入りできず、のぞき込まないと見つからない場所だった。 |
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現場の周囲には長崎県警がロープで通行止めにし、買い物客らが不安そうな表情でのぞき込んでいた。 遺体を見たという医療機器会社の社員(56)は「うつぶせで、頭から血を流していた」と驚いた様子で語った。 近くの理容店主(64)は「この辺りは夜も人通りが多く、まさかこんな所で見つかるなんて……。40年間商売をやっているが、こんなひどい事件は聞いたことがない」と憤っていた。 買い物に来ていた主婦(58)は「本当に痛ましい」とおびえた表情。長崎地裁に向かう途中という会社員女性(27)は「長崎でもこんな事件が起きるんですね。怖くなりました」と声を震わせた。 駿ちゃんが行方不明になった同市三芳町の大型電器店では、報道陣が詰めかけた。 従業員は「知りません。全部、警察に伝えていますので、警察に聞いてください」と繰り返した。 2日朝、長崎市万才町の築町パーキングビル(地上7階、地下1階)敷地内で同市北陽町、会社員種元毅さん(30)の長男、幼稚園児の駿(しゅん)ちゃん(4)が遺体で見つかった事件で長崎県警は、誘拐殺人事件と断定、捜査本部を長崎署に設置し捜査を始めた。 長崎大での司法解剖の結果、死因は高所からの転落による頭部強打で、死亡推定時刻は1日午後8時から2日午前0時。 捜査本部はビルから投げ落とされた可能性が高いとみている。 調べによると、駿ちゃんは2日午前9時45分ごろ、パーキングビルの壁とブロック塀(高さ約2メートル)の間のすき間(幅約1.5メートル)にうつぶせの状態で見つかった。 衣服を身につけておらず、すでに死亡していた。 すき間には雨水タンクと自動販売機が置かれており、路面には駿ちゃんのものと見られる血痕が広がっていた。 すき間にはブロック塀を乗り越えなくては入れないという。 パーキングビルは午前7時30分から午後10時まで営業。 それ以降はシャッターが下りて車も人も立ち入りが出来ない。 駿ちゃんは1日午後、行方が分からなくなった。 両親、妹と一緒に同市三芳町の大型電器店に買い物に来ていたが、午後7時ごろ「テレビゲームの販売コーナーに行く」と言って両親の元を離れた。 約20分後、姿が見えないのに気づいた両親が店員らとともに店内を捜したが、見つからず、浦上署が電器店や自宅周辺を捜索していた。 電器店は遺体発見現場から北に約4キロ。県警は何者かが駿ちゃんを連れ去り、殺害した未成年者誘拐、殺人事件とみている。 遺体発見現場は市中心部の県庁や県警本部などの官庁や商店が立ち並ぶ一角。 |
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2日朝、遺体となって発見された駿ちゃん(4)。前夜まで両親や妹と買い物をして、楽しいひとときを過ごしていた駿ちゃんは同夜、変わり果てた姿で帰宅した。 無事を願って一夜を明かした関係者は、最悪の結果に言葉をなくし、涙にくれた。 駿ちゃんは4月、長崎市滑石の「みやま幼稚園」(石本シヅエ園長)に入園したばかり。 クラスは年中組の「うみぐみ」。教室の壁には駿ちゃんが描いたカタツムリの絵が飾られていた。 担任の山口真澄教諭(26)は「ご飯を食べる時間も惜しんで、外で遊ぶ活発で人なつっこい子。七夕には『大好きな仮面ライダーになりたいとお願いする』と話していた。 優しい性格で、困っている友だちを手助けしたり、妹の話を聞かせたりしていた」と涙で声を詰まらせた。 1日午後2時過ぎ、バスに乗る際、雨がっぱを着せ、「あしたまたね」と言葉を交わしたという。 石本園長は「『園長先生』と呼んでくれる明るい子だった。 こんなむごいことになったことが信じられない」と話していた。 幼稚園では3日を臨時休園にし、午後2時から保護者会を開く。 種元さん一家は4月、福岡県久留米市から引っ越してきたばかり。 |
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司法解剖を終えた駿ちゃんの遺体は午後10時15分ごろ、祖父母らに見守られながら帰宅した。 担架に乗せられた遺体には、布がかぶせられた状態。 親族らは報道陣の問いかけに答えず、自宅に駆け込んだ。 室内からは女性がむせび泣く声が続いた。 隣の谷口清市さん(66)、キヌエさん(62)夫妻は「週末は一緒に出かける仲の良い家族。 間違いであってと願っていたのに」と涙ぐんだ。 6月30日、駿ちゃんに「今から保育園ね」と声をかけると、「はい」と元気の良い返事が返ってきたのが、最後になったという。 駿ちゃんの遺体が見つかった築町パーキングビルでは、長崎県警の実況見分や遺留品の捜索が2日夜まで続いた。 ビルは地上7階、地下1階の立体駐車場で、100台以上を収容できる。 車の出入り口は1か所。 営業時間内は、出入り口に係員が常駐。出入り口の脇には、人の専用通路として、エレベーターと階段がついている。 午後10時で営業を終了すると、いずれも出入り口はともにシャッターが下ろされる。 各階の壁には1メートルほどの鉄さくがあり、その上部は開いている。 駿ちゃんが発見されたのは、ビルの壁とブロック塀の間のすき間で、塀の高さは約2メートル。 塀に沿って階段になった歩道があり、ビルからも歩道側からも投げ込むことが可能だ。 しかし、遺体の損傷が激しいことから、捜査本部はビルの屋上か上の階から駿ちゃんを投げ落としたとの見方を強めている。 死亡推定時刻やビルの営業時間から、犯行は1日午後8時から午後10時までの間に行われた可能性が高い。 ビルには防犯カメラが設置されているが、録画されていなかった。 捜査本部はこの2時間の記録を中心に捜査を進めている。 類似事件が発生していた 長崎市北陽町の会社員種元毅さん(30)の長男で、幼稚園児の駿(しゅん)ちゃん(4)が誘拐、殺害された事件で、駿ちゃんが行方不明になった大型電器店から約1キロ離れた市内の商業施設で4月、男児(4)が男に連れ去られ、施設の上階にあるマンション通路から、隣接する駐車場の屋上に突き落とされ、けがを負う事件が起きていたことが3日わかった。 犯行の手口が今回の誘拐殺人事件と類似しており、長崎県警捜査本部は関連を調べている。 男児の母親らによると、事件が起きたのは4月21日午後3時半ごろ。 男児は母親らと3人で商業施設へ買い物に行き、2階の遊戯コーナーで遊んでいた。 ところが、母親が2分ぐらい目を離したすきに姿が見えなくなった。 約10分後、男児が隣接の駐車場の屋上で泣いているのを客が発見。 母親が駆けつけたところ、男児は口から血を流していた。 病院に運ばれ、頭部内出血や足の打撲で全治1週間と診断された。かかとから着地したため、大けがは免れることができたらしい。 男児は母親に(1)悪いおじさんにおんぶされて連れて行かれ、おなかをけられた(2)男に高いところから落とされた――と話し、隣接するマンション6階の通路を指さしたという。 男児は、男に施設上階のマンションへ連れて行かれ、6階通路から隣の駐車場へ突き落とされたらしい。 通路と駐車場の屋上との高低差は約5メートル。 医師の診断では、施設側の通報を受けて、県警は病院で男児や母親から事情を聞き、男を捜しているが、行方はつかめていないという。 母親は「誘拐殺人事件をニュースで見て、同一犯じゃないかと思った」と話している。 中学生を事情聴取へ、カメラ映像の男と特定 長崎市北陽町の会社員種元毅さん(30)の長男で、幼稚園児の駿(しゅん)ちゃん(4)が誘拐され、殺害された事件で、長崎県警の捜査本部は8日、遺体発見現場近くのアーケード街の防犯カメラに、男児とともに映っていた若い男を同市内の中学生と特定、近く事情を聞く。 中学生が映っていたのは、駿ちゃんの遺体が発見された同市万才町の立体駐車場・築町パーキングビルから東に約150メートルのアーケードに設置された防犯カメラ。男児についても駿ちゃんであることが確認された。 若い男は、中学校で採用されている夏用の制服に白の半袖シャツ、黒ズボンを着用。シャツの特徴や体格などから、市内の中学生が浮上した。 駐車場ビル屋上などから採取された靴跡が、中学生の通う中学の購買部で販売されているスニーカーと同一製品であることも裏付けられた。 駿ちゃんは1日夜、同市三芳町の大型電器店で行方不明になり、翌2日午前、駐車場の敷地内で遺体で見つかった。 衣服を脱がされ、頭から血を流していた。 司法解剖の結果、死因は転落によって頭を強く打ったためと判明。 捜査本部は駐車場ビルの屋上か、上層階から突き落とされ、殺害されたとみている。 社会に衝撃を与えた事件の発生から1週間。捜査本部が、駿ちゃんと一緒に防犯カメラに映っていた男が中学生と特定され、捜査は急展開、新たな局面を迎える。 捜査進展の大きな力になったのは、商店街などに設置された防犯カメラだった。 捜査本部では、駿ちゃんの遺体が立体駐車場で発見されたことから、当初、犯人は車を使って移動したとみて、駐車券から指紋採取などを行った。 一方で、駐車場やその周辺の商店街などに設置された防犯カメラの映像についても任意提出を受け、その分析にも力を注いだ。その中から見つかったのが、駐車場から約150メートル離れた浜市アーケード内を若い男と一緒に歩く駿ちゃんの姿だった。 カメラは、中学生の制服のような服装の男の姿をとらえていた。 現場に残された足跡から特定された、市内の中学校で販売されているスニーカーに似た靴を履いている姿も確認されるなど、こうした映像が、男の特定に結びつく有力な情報となった。 長崎市内の12歳中1男子を補導、男児殺害を大筋認める 長崎市北陽町の幼稚園児、種元駿(しゅん)ちゃん(4)誘拐殺人事件で、長崎県警の捜査本部は、同市内の中学1年の男子生徒(12)を補導。 刑法や少年法で刑事手続きができない14歳未満のため同日夕、同県中央児童相談所に通告した。事情聴取に対し、男子生徒は、殺害を大筋で認めているという。 調べによると、駿ちゃんの遺体が見つかった同市万才町の立体駐車場「築町パーキングビル」(7階建て)から東に約150メートル離れた繁華街・浜市アーケードの防犯カメラが、駿ちゃんを連れて歩く夏の制服を着た少年を映している。 駐車場ビルに残された運動靴の足跡も、男子生徒が通う中学校の購買部で販売されたスニーカーと一致したという。 駿ちゃんは今月1日午後7時20分ごろ、両親や妹と買い物に訪れた同市三芳町の大型電器店で行方不明になり、翌2日午前9時45分ごろ、約4キロ南に離れた駐車場ビルの敷地内で見つかった。 駐車場ビルに残された運動靴の足跡が、男子生徒が通う中学校の購買部で販売されたスニーカーと一致したことから、事件に関与したとの疑いを強めている。 駿ちゃんは今月1日午後7時20分ごろ、両親や妹と買い物に訪れた同市三芳町の大型電器店で行方不明になり、翌2日午前9時45分ごろ、約4キロ南に離れた駐車場ビルの敷地内で見つかった。 衣服を脱がされ、頭から血を流していた。司法解剖で、死因は転落で頭を強く打ったためと判明。捜査本部は駐車場屋上か、上層階から突き落とされたとみて調べている。 捜査本部は逮捕などは行えないため、少年法に基づき、保護・更生手続きを進める。 聴取などで事実関係を明らかにしたうえで、児童相談所に通告する。 児童相談所は、駿ちゃん殺害事件を重大犯罪とみて、中学生の身柄を家庭裁判所に送るとみられる。 ■事件の経緯■
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触法少年 刑罰法令に触れる行為をした少年のうち、刑事責任が問われない14歳未満を指し、14歳以上20歳未満の「犯罪少年」と区別する。警察庁によると、2002年には2万477人が確認され、その約7割が窃盗。 |
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